当サイトをご覧の方は、少なからずクルマ好きで、ちょっとした作業ならご自分でなさっている方もいると思います。
そこで、店主がこだわる工具やその使い方についてお話しさせてもらいます。

クルマ弄りには、まず工具がなければ始まりません。借り物の工具でもいいのですが、やはり自分の工具を揃えた方が愛着もわきます。
店主は全てではありませんが、主にスナップオン、MAC、KTCと、世間から一流品とよばれるメーカーの物を使用しております。
それは、お客様の車を確実に整備するためにはどうしても必要だからです。その訳は後で説明しますが、一般の方がそこまでこだわる必要もないと思います。


スパナとメガネ

まずサンデーメカニックがそろえるのはこの2種類だと思います。
上がクローズドエンドレンチ『通称メガネ』。下がオープンエンドレンチ『通称スパナ』

基本、ボルトやナットを回す時は、メガネを使用します。特に固く締まってるボルトナットは、下のスパナを使用するとネジの角を傷めてしまいます。

コレは、メガネを使うとネジの六角全てに力が掛かるのに対して、スパナは2面しか接触しないためその角部に掛かる負担が大きいんですね。
ただ、一切使わないわけではありません。一度メガネで緩めることができたら、後はスパナで回しても構いません。


・コンビネーションレンチ

オープンエンドとクローズドエンド、これらのよい所を一つにしたのがコンビネーションレンチです。

好みに応じて使い分けたらいいと思います。


・モンキーレンチ

モンキーレンチと呼ぶのは日本だけで、正確にはアジャスタブルレンチと呼ばれるらしいです。

なぜモンキーと呼ばれるのかは分かりませんが、ボルトナットにあわせて幅を変えられるので、非常に便利な工具ではありますが、工具自体が重たいのと、やはりスパナと一緒でボルトナットの二面にしか力が掛けられません。また、動く構造上どうしてもガタが出やすいので相手を傷めやすいです。

重たいのをいい事に、ハンマー代わりに使用する方も居ますが絶対にやめてください。


・フレアナットレンチ

特殊な用途に使われます。

オープンエンドでありながら、ボルトナットの6角全てに力が掛かるので、傷める事が少ないです。

主に、ブレーキパイプやオイルラインの締め付けに使用します。


・ラチェットハンドル

店主はこの3種類のサイズを使用してます。我々は上から1/4 中3/8 下1/2と呼びます。

呼び名は差込部の四角のサイズです。国産工具では、6.3 9.5 12.7とミリサイズで表示することもありますが、インチの方がなぜかプロっぽく聞こえます。

必要な場所に必要なサイズを使用する事によって作業性を高めます。当然大きなラチェットの方が力が掛かります。


また、同サイズでもこの3種類を使い分けます。

どれも3/8サイズなのですが、上 ショート、中 スタンダード、下 首振りタイプ。

一般の方はこんなにたくさん必要ないかもしれませんが、あれば作業性が向上します。


・板ラチェット

スナップオンのカタログでは『ラチェッティングボックス』と呼ぶらしいですが、『板ラチェット』で通用します。

通常のラチェットが入らないような狭いところで威力を発揮します。


・エクステンションバー

これは必要に応じて買い揃えていったらこんなに増えちゃいました。コレはほんの一部です。

各メーカーによって微妙に長さや太さが違って、それぞれ適所で使い分けてます。


・ソケット各種

通称『コマ』と呼んだりします。(工具箱が片付いていないのは店主の性格です)

必要だと思って買い揃えていったら、いつしかこんなに増えちゃいました。

まだまだ足りないくらいですが、もう収納する場所がありません…

このソケットたちもいろんなサイズがあり、必要に応じて揃えていけばよいでしょう。セット物なんかはあまり使わないサイズが入ってたりして、結局高い買い物になってしまうことがあります。


また、同じソケットサイズでも6角タイプと12角タイプがあります。

レンチ同様、固いネジは6角タイプを使うと大きな力が掛けられます。12角タイプは使い勝手はいいのですがソケット自体の強度が6角に比べ劣る(割れやすい)のと、ネジ側も傷めやすくなります。


が、世の中には12角のボルトがたまに存在しますので、この場合は12角でしか作業できませんし、ソケットを利用してオイルシールやベアリングを圧入するときもあります。こういう時は6角より12角の方がより円に近いので、相手を傷つける事が少ないです。


・トルクスソケット

外車に多いネジだったんですが、最近では国産車でも使われるようになってきました。

普通の6角ボルトとは違い、接触面が増えるので大きな力で締め付けることができます。が、万が一ネジを傷めてしまったらもうどうしようもないのが難点です。このネジを緩める時はフィットのいい一流品を使うことをおススメします。


・トルクレンチ

ネジの締め付け力を管理するためには絶対必要な工具です。

当ガレージでは3種類のトルクレンチを使用してます。これも、場所に応じて締め付け力が違うので、全てのネジに対応するべく使い分けます。
非常に高価な工具ですが大切なお客様のクルマを完璧に整備するために使用してます。


・ドライバー各種

ほんの一部ですが、当ガレージのスタメンたちです。微妙に曲がってたりするのは使い倒されている証拠。

また、同じサイズでもメーカーによってネジに対するフィット感が違ったりするので、それぞれ使い分けます。


・ブレーカーバー

またはスピンナーハンドルとも呼ばれます。

シンプルな工具ですが、ラチェットレンチより大きな力がかけられます。

また、先端が90度以上曲がるので、意外に狭いところで使い勝手がよかったりします。馬鹿にできません。


マグネット

狭いところに落としたネジや工具を拾い上げるのに使用します。
オッチョコチョイな店主には、実はこの工具が一番働き者だったりします。

このマグネット、大変磁力が強くて1/2のラチェットも吊り上げられます。が、吊り上げる最中に他の色んなところにくっついて、なかなか手元に来ないことが難点。また、当然ですが鉄製のものにしかくっつきません…。




ひとついえることは、信頼性のある工具を使用することです。
ホームセンターなどの安売り工具でも十分作業できますが、一流品は手に伝わる感覚が違います。

別に店主は工具メーカーの回し者ではありませんが、大事な事は最終的に作業する人間の手の感覚で感じ取ることです。

これは長年携わってきた人間にしか分からない説明しにくい部分ではありますが、いい工具はネジや部品を壊す前に工具を通じて伝わってきます。
また、最終的には工具自体が壊れて対象物を守ります

こういった意味からも、店主は名の通った一流品を使用するようにしてます。

作業を依頼しても、意外にその工賃が高くて驚かれる人が稀に居ますが、高いの にはワケがあるんです。
良い工具と確かな腕と知識で、お客様のお車を確実に作業するためにはどうして も必要な金額なんです。
どうかご理解ください。

まだまだ、工具についての話はつきませんが、この続きを知りたい方は、ぜひご来店頂き、店主とオタクな工具談義に花を咲かせましょう。



(c)KNS 2004